【製作編】第2回:0.1ミリに宿る、強さと優しさ。「漉き」の美学

【製作編】第2回:0.1ミリに宿る、強さと優しさ。「漉き」の美学

渋谷のポップアップを経て、改めて enrio の「裏側」を曝け出す製作レポ。 第1回の「裁断」を経て、バラバラのパーツになった革たち。 机に並んだそれらは、まだ「材料」でしかありません。 今回お話しするのは、それらを「製品」へと昇華させるための、最もストイックな工程。 革の厚みを整える「漉き(すき)」についてです。 1. 0.1ミリの差が、革製品の「格」を決める 「漉き」とは、専用の漉き機...
製作編:第1回 「命のバトン」を切り出す。一太刀に込める、100枚の革と98年の覚悟

製作編:第1回 「命のバトン」を切り出す。一太刀に込める、100枚の革と98年の覚悟

渋谷でのPOPUPという挑戦が終わり、工房には静寂が戻りました。 あの5日間で得た一番の収穫は、「良いものを作る」だけでは届かない、という痛烈な事実でした。 だからこそ、この「製作編」では、enrioが、そして私が、どれほど素材に執着し、一針に命を懸けているか、その泥臭いプロセスを隠さずにお伝えしようと思います。 その第1回は、すべての始まり、「裁断」です。 1. 100枚の個性と対話する...
【工房編】最後の一針に込める、98年の意地と「100枚の覚悟」

【工房編】最後の一針に込める、98年の意地と「100枚の覚悟」

農場、屠畜場、なめし工場。 多くのプロたちが繋いできた「命のバトン」のしんがりを務めるのが、私たちの工房です。 実は、このバトンの受け取り方は、普通のブランドとは少し違います。 私自身がハンドルを握る車で、なめし工場(計量屋)まで直接引き取りに行くのです。 ■ 軽バンに積んだ「100枚の勝負」 積み込むのは、およそ100枚の革。 一般的なブランドは、革問屋から必要な分だけ(1枚から)買うの...
皮から「革」へ。職人の魔法が一生モノを創り出す。

皮から「革」へ。職人の魔法が一生モノを創り出す。

農場で受け取った「命のバトン」は、休む間もなく次のランナーへと引き継がれます。 向かう先は、埼玉県が世界に誇る技術の結晶、「なめし工場」です。 ここでは、放っておけば傷んでしまう「皮」が、数十年使い続けられる「革」へと劇的に生まれ変わります。 ■ 「塩蔵」をしないという、究極の鮮度へのこだわり 通常のレザー製作では、屠畜された皮は腐敗を防ぐために大量の塩に漬け込む「塩蔵(えんぞう)」という...
【特別編】写真には残せなかった、命の交差点の話。

【特別編】写真には残せなかった、命の交差点の話。

前回、橋本グローバルスワインさんの農場でお伝えした「命のバトン」。 真っ直ぐな瞳の黒豚たちから受け取ったそのバトンが、最初に向かう場所があります。 それは、一般的にはあまり語られることのない場所であり、レザー業界でも伏せられることの多いプロセス――「屠畜場(とちくじょう)」です。 ここからは、あえて写真は載せません。 私の記憶にある、現場の空気感と言葉だけをお届けします。 ■ 10年見てき...
革の「鮮度」を求めて。命の現場で交わした、ある約束の話。

革の「鮮度」を求めて。命の現場で交わした、ある約束の話。

私たちが「革の鮮度」にこだわる理由は、単に質が良いからだけではありません。 実際に(有)橋本グローバルスワインさんの農場を訪ね、橋本さんが豚たちに向き合う真剣な眼差し、そして力強く生きる黒豚たちの姿を目の当たりにした時、私の心に一つの強い感情が湧き上がりました。 「この命を、決して無駄にしてはいけない。最高の状態で使い切ることこそが、私たちの責任だ」 前職のJA全農ミートフーズ時代から数多...
【図解】enrioが「産地」にこだわる本当の理由。〜サプライチェーンの裏側〜

【図解】enrioが「産地」にこだわる本当の理由。〜サプライチェーンの裏側〜

「なぜ、enrioの豚革はこんなに特別なんですか?」 展示会やポップアップストアで、製品を手に取ったお客様からよくいただく質問です。 その答えは、技術やデザインはもちろんですが、実はもっと手前の「仕組み」にあります。 今回は、enrioが大切にしている「独自のサプライチェーン」についてお話しします。 従来のルートとenrioのルート(比較図) 一般的な革の流通(図の上段)では、多くの業者が...
【Flying Pig】命のポテンシャルを信じ、新しい翼を授ける「アップサイクル」

【Flying Pig】命のポテンシャルを信じ、新しい翼を授ける「アップサイクル」

皆様、いつもenrioのブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。 前回の「tradition(伝統)シリーズ」に続き、本日はenrioのもう一つの柱である「Flying Pig(フライング・ピッグ)」シリーズについてお話しします。 1. なぜ「空飛ぶ豚」なのか? このシリーズには、私たちが最も大切にしている「循環(サーキュラーエコノミー)」の想いが込められています。 埼玉県が誇るブラ...
tradition(伝統)シリーズについて

tradition(伝統)シリーズについて

「tradition」シリーズ:日本の伝統と手仕事の温もり 藍と墨。日本の美しい伝統色で染め上げた革を用いた「tradition」シリーズについて。