「皮の暴落に困っていない大手食肉販売会社」と「1枚2円のリアル」。その矛盾の裏にある業界の構造とは?

「皮の暴落に困っていない大手食肉販売会社」と「1枚2円のリアル」。その矛盾の裏にある業界の構造とは?

【日本の真実】「日本製」のアパレルは、わずか1.1%という現実。その先にある、enrioの挑戦。 Reading 「皮の暴落に困っていない大手食肉販売会社」と「1枚2円のリアル」。その矛盾の裏にある業界の構造とは? 1 minute Next 【enrioの思想】「地産地消」って、食べ物だけの言葉だと思っていませんか?

こんにちは、enrioのケンです。

私たちがよく発信している「原皮(げんぴ)の取引価格がたったの2円」というお話。命をいただいた後の大切な副産物が、それほどまでに価値を失っているという日本の畜産・レザー業界のリアルな現状です。

先日、業界でも超大手の食肉販売会社の方とディスカッションをする機会がありました。その際、私が「豚皮の暴落、本当に深刻ですよね」と切り出すと、意外な答えが返ってきたんです。

「いや、うちは皮のことで別に困っていないよ」

一見、私たちの発信と矛盾するようなこの言葉。でも、深く構造を紐解いていくと、これこそが今の業界が抱える「本当の病理」であり、本質が見えてきました。

なぜ、大手は「困っていない」のか?

彼らが困っていないのは事実です。なぜなら、その会社は自社で一貫した素晴らしいブランド肉の流通網を持っており、お肉(枝肉)の販売で100%利益を回収できる仕組みがあるからです。

そして何より、と畜(解体)を行う「食肉センター」へしっかり手数料を支払い、そこから出る大量の皮を、既存のルートへ綺麗に「アウトソーシング(丸投げ)」できている。毎日大量かつ安定して出る大手の皮は、原皮業者にとってもありがたい存在なので、市場がどれだけ暴落しようが、そのセーフティネットの枠内で最優先で引き取られます。

だから、彼らの視点からは「困っていない」というのは嘘偽りのない本音なのです。

「見えないツケ」はどこへ行くのか

しかし、これは「問題が解決している」わけではありません。単に、リスクと面倒な実務が、川上の「食肉センター」や「原皮業者」というレイヤー(階層)に先送りされているだけです。

現在、全農さんや日本ハムさんのような、川上(生産・と畜の基盤)までを丸ごと背負っている巨大な組織は、ものすごい危機感を抱いています。

なぜなら、皮が2円でしか売れず、中間にいる原皮業者がコスト高で倒産していけば、いずれ食肉センターの中に皮が溢れかえるからです。ゴミとして処分するにも莫大な費用がかかります。そうなれば当然、お肉を処理する手数料は跳ね上がり、巡り巡って「困っていない」と言っていた販売会社や、ただでさえギリギリで経営している地域の養豚農家さんへ、特大のブローとなって返ってきます。

大手が気づいていない(あるいは関係ないと思っている)だけで、足元のクッションはすでに擦り切れる寸前なんです。

だから、enrioがやるべきこと

「うちは関係ない」で逃げ切れる時代は、もう長くは続きません。

地域の小さな農家さんや、大手のセーフティネットからこぼれ落ちてしまう大切な資源(命の副産物)。誰かが「2円の価値しかない」と決めたそれを、私たちは地元・埼玉の職人の技術とデザインで、もう一度「誇りを持てるプロダクト」へとひっくり返したい。

目先のお肉の利益だけでなく、サプライチェーン(つながり)全体が持続可能(サステナブル)であるために。enrioはこれからも、この泥臭いリアルに向き合い、価値を創り続けます。