
農場で受け取った「命のバトン」は、休む間もなく次のランナーへと引き継がれます。 向かう先は、埼玉県が世界に誇る技術の結晶、「なめし工場」です。
ここでは、放っておけば傷んでしまう「皮」が、数十年使い続けられる「革」へと劇的に生まれ変わります。
■ 「塩蔵」をしないという、究極の鮮度へのこだわり
通常のレザー製作では、屠畜された皮は腐敗を防ぐために大量の塩に漬け込む「塩蔵(えんぞう)」という工程を挟みます。しかし、enrioではこの工程を行いません。
理由は、「塩蔵する必要がないほど、すぐになめし工程に入れるから」です。
屠畜場から直送された皮は、まずは協力してもらっている塩蔵会社(丸萬商店様)にて「シェービング」という作業が行われます。皮の裏側に残った余計な脂や肉片を、熟練の技で丁寧に取り除いていく。この「余分なものを削ぎ落とす」工程を経て、皮は清らかな状態でなめし工場へと運び込まれます。
保存のための時間を省き、命の熱が冷めないうちに次の工程へ。これこそが、enrioが追求する「鮮度」の形です。
■ 巨大なドラムが刻む、再生の鼓動
工場に足を踏み入れると、地響きのような「ゴォォー」という音が聞こえてきます。 そこにあるのは、大人が何人も入れるような巨大な木製のドラム(タイコ)です。
シェービングを終えた皮は、このドラムの中で揉み込まれ、薬剤を浸透させていきます。 その日の気温や湿度、皮の状態に合わせて、職人が長年の「勘」で配合や回転時間を微調整する。 ドラムの中で白く、しっとりと変化していく皮の様子は、まさに素材に新しい命が吹き込まれる「魔法の工程」を見ているようでした。
■ 職人の眼差しが、最高の一枚を選び抜く
なめしの工程を終え、ようやく「革」としての姿を現した素材たち。 最後に待っているのは、熟練の職人による厳しいチェックです。
一枚一枚、光にかざして傷や厚みを確かめ、enrioの基準を満たすものだけが選ばれていきます。 「いい革ができたよ」 職人さんの手から伝わるその感触は、しっとりと吸い付くようでいて、芯のある力強さを秘めていました。

■ ついに、バトンは私たちの工房へ
農場、屠畜場、そしてなめし工場。 多くのプロフェッショナルたちが「最短距離」で繋いできた命のバトンが、ついに私たちの工房へ届きます。
ここからは、私たちの番です。 この革に刃を入れ、最後の一針を通す。 次回はシリーズ最終回。enrioの製品が形作られる「工房編」をお届けします。

実は、この熱いバトンリレーを経て完成したプロダクトたちが、明日から特別な場所で皆さまをお待ちしています。
工房で最後の一針を終えたばかりの、enrioの「今」を詰め込んだ製品たち。
明日、4月7日(火)より。 西武渋谷店 パーキング館1F「CHOOSEBASE SHIBUYA」にて、展示販売がスタートします。
供給不安や原材料の高騰など、ものづくりの現場は厳しい状況が続いています。正直、この先どうなるのか不安になる夜もあります。
けれど、農場からなめし工場まで、多くのプロたちが「最短距離」で繋いでくれたこの革に触れるたび、僕は勇気をもらいます。
ぜひ、渋谷の店頭で、その「鮮度」を確かめてみてください。 職人の手から伝わってきた、あのしっとりと吸い付くような力強さを、あなたにも感じていただけたら嬉しいです。
📍 CHOOSEBASE SHIBUYA(西武渋谷店) 🗓 4月7日(火)〜
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町21−1 パーキング館 1階 西武渋谷店
皆さまにお会いできるのを、心より楽しみにしています。


