指先に込める「enrioの流儀」—— 刻印・糊付け・ヘリ返し・コバ塗りの世界

指先に込める「enrioの流儀」—— 刻印・糊付け・ヘリ返し・コバ塗りの世界

【番外編】連休の余白と、相棒としての革。 Reading 指先に込める「enrioの流儀」—— 刻印・糊付け・ヘリ返し・コバ塗りの世界 1 minute Next 命のバトンを縫い合わせる —— 製作編・最終回「縫製」

先日のSNSでは、私たちが「革の裏側」を大切にする理由について少し触れました。 今日はその「裏側」にある、具体的で、それでいて一番神経を使う製作工程の一部を覗いていただこうと思います。

私たちが製品に命を吹き込むとき、欠かせない4つのステップがあります。


【1. 刻印:ブランドの覚悟を刻む】 まずは「刻印」。 enrioのロゴを革に刻む瞬間は、いつも独特の緊張感があります。 熱の入れ方ひとつ、押し込む秒数ひとつで、表情が全く変わってしまうからです。 ただの名前ではなく、「命の副産物を価値あるものに変える」という私たちの覚悟を刻印機に込めています。

【2. 糊付け:見えない場所こそ丁寧に】 次に「糊付け」です。 完成してしまえば、糊の跡はどこにも見えません。 しかし、この接着の精度が、製品の耐久性と仕上がりの美しさを左右します。 薄く、均一に。 「見えない場所を疎かにしない」という泥臭いこだわりが、長く愛される道具を作るための土台になります。

【3. ヘリ返し:指先の感覚がすべて】 そして、最も職人技が光るのが「ヘリ返し」です。 革の端を薄く漉き、内側に折り返していく作業。 特にコーナーのカーブを美しく仕上げるには、機械では決して真似できない繊細な指先の感覚が求められます。 このコンマ数ミリの折り込みが、製品に「品格」を与えるのです。

【4. コバ塗り:断面に宿る色気】 革製品には切り目とヘリ返しの2パターの製品がございます。enrioの製品もどちらも存在します。切り目の製品はコバ塗りを行います。革の断面(コバ)を整え、専用の塗料をのせていく作業です。 一度塗って終わりではありません。乾燥させては磨き、また塗る。この繰り返しの先に、滑らかで艶やかな断面が生まれます。 断面ひとつで製品全体の印象がガラリと変わる。まさに、細部に宿る「色気」を作る工程です。


【結び】 「刻印・糊付け・ヘリ返し・コバ塗り」。 言葉にすればシンプルですが、その一つひとつに私たちの「使命」が宿っています。 こうした地道な工程の積み重ねこそが、enrioが皆様にお届けしたい「本物の手仕事」です。

ぜひ、お手元の製品の「端(ヘリ)・コバ口」や「刻印」をじっくり眺めてみてください。 そこには、私たちの指先の体温が残っているはずです。

【次回予告:命のバトンを縫い合わせる】 さて、土台が整った次はいよいよ、これらのパーツに息を吹き込む「縫い」の作業に入ります。 ミシンの音とともに形になっていく「縫製編」。 次回のブログでお届けしますので、どうぞお楽しみに。