なぜ私たちは「豚革」を使うのか?日本で100%循環できる唯一の自給素材

なぜ私たちは「豚革」を使うのか?日本で100%循環できる唯一の自給素材

【現場のリアル】傷のある革はどこへ行く?原皮商とタンナーから聞いた「B級・C級原皮」の課題 Reading なぜ私たちは「豚革」を使うのか?日本で100%循環できる唯一の自給素材 1 minute

革の中で「唯一の国産100%」を知っていますか?

「革製品」と聞くと、多くの方はイタリアンレザーなどの高級な牛革を思い浮かべるかもしれません。

しかし、私たちが日常的に手にする革の中で、原料から製造まで100%日本国内で自給できる唯一の革があることをご存じでしょうか?

それが「豚革(ピッグスキン)」です。

牛革の原皮(なめす前の皮)の多くを海外からの輸入に頼っている日本において、豚革は唯一、国内で生まれ、国内でなめされ、製品へと仕立てられる「完全国産」の革素材です。

今回は、意外と知られていない豚革のすごさと、私たちがなぜ豚革にこだわり続けるのかについてお話しします。

豚革(ピッグスキン)が誇る3つの優れた特徴

「豚の革って、牛革より安価な素材でしょ?」と思われがちですが、実は海外のハイブランドでも高級素材として重宝されているほど、機能性に優れた素材です。

1. 通気性が抜群(3つの毛穴)

豚革の最大の特徴は、表面にぽつぽつと見られる「3つ並んだ毛穴」です。この毛穴が貫通しているため、他の革にはない優れた通気性を持っています。蒸れにくく、バッグの裏地や靴のライニング、肌に直接触れる小物に最適な素材です。

2. 驚くほどの軽さと摩擦への強さ

豚革はとても薄くしなやかでありながら、コラーゲン繊維が緻密に絡み合っているため、摩擦に非常に強いという性質があります。軽いのに丈夫。日常でガシガシ使う道具として、これ以上ないポテンシャルを秘めています。

3. 「手頃な価格帯」という最大の良さ(良質なのに手に取りやすい)

豚革の一番の魅力は、国内で調達から加工まで完結できるからこそ実現する「優れたコストパフォーマンス(手に取りやすい価格帯)」です。 「安い革=品質が低い」と思われがちですが、豚革の場合は輸入コストや関税の影響を受けにくく、安定して国内供給できるからこその適正価格。「上質な本革を、過度な高値ではなく日常使いしやすい価格で届けられる」というのは、使う人にとっても作り手にとっても最大の強みです。

命を最後まで活かしきる「最古のアップサイクル」

私たちが日常でお肉(豚肉)を美味しくいただいた後に、必ず残るのが「皮」です。

もしこの皮を革として活用しなければ、そのまま莫大な費用をかけて廃棄・焼却され、環境にも大きな負担がかかってしまいます。

豚革は、日本の食肉産業と直接つながっている「命の副産物」そのもの。 命を無駄にせず、職人の技術によって美しく耐久性のある道具へと生まれ変わらせる――これこそが、数千年前から続く一番泥臭くて誠実な「アップサイクル」の姿だと私たちは考えています。

足元にある素晴らしい素材を見直す

灯台下暗しのように、私たちの身近な日本国内にこれほど素晴らしく、サステナブルな革素材が存在しています。

「海外製だから良い」「牛革だから高級」という表面的なイメージだけで選ぶのではなく、その素材がどこから来て、どんな想いで作られているのか。

日本の誇るべき循環素材「豚革」の魅力を、これからも製品と発信を通じて届けていきます。

ぜひ、お手元の革製品を見る際に「素材の背景にあるストーリー」にも思いを馳せていただけたら嬉しいです。